おしりの手術
おしりの手術について
当院では、丁寧で的確な診察をもとに、最善と思われる治療を提供することを信念とし、治療をおこなっています。
手術につきましても、その必要性が認められ、手術を行うことが最適である場合に提供いたします。
痔核の治療
保存的治療
薬物治療
治療の中心は外用薬(注入軟膏、坐薬)となります。それぞれの病状に合った注入軟膏などを使用して出血や痛みなどの症状を改善させます。
便秘など便通がよくない場合は、内服薬も併せて用いていきます。
4週間以上、薬物治療や生活習慣の改善を行っても症状の改善がない場合は、手術や硬化療法などの治療を提案いたします。
食事
食物繊維や水分を十分にとり、辛い食べ物など刺激の強い食事やお酒は控えるようにしてください。
入浴
入浴は肛門を清潔に保つだけでなく、肛門の血流を改善し、痛みや出血などの症状を緩和する効果があります。
ゆっくりとお風呂につかるようにしてください。
痔核硬化療法(ALTA療法)
痔核硬化療法とは、痔核に対する止血効果と縮小効果に優れたALTA注射薬(ジオン注)を痔核に直接注射して、痔核を退縮させる治療法です。
脱出の程度が比較的軽度な場合は特に有効です。
手術と比較すると、やや再発率が高く、適応を十分に判断する必要があります。
発熱などの副作用がみられることもありますので、日帰りでの治療も可能ですが、1泊から2泊程度の入院治療をおすすめしています。
手術療法
手術は、痔核のタイプ、症状の程度を問わず適応できる治療法で、最も根治が期待できる治療法です。
当院では衛生管理を徹底して合併症予防に注力しています。
痔核根治術(結紮切除術)
腫大した内痔核を切除し、形を整えた後に、切除部位を縫合閉鎖します。
当院では、創を完全に閉鎖することで、術後の出血が少なく、早く治癒する手術を行っています。
吸収糸を使用していますので抜糸の必要はありません。
手術中はもちろん、術後も十分な鎮痛を行うことで、少しでも患者様の苦痛を和らげるようフォローいたします。
ゴム輪結紮術
比較的小さな痔核に用いられます。内痔核の根元を専用の特殊なゴムで縛ります。
ゴムで縛られた痔核は、血流がなくなるため、1週間から10日ほどで自然に脱落します。
簡便な治療法ですが効果が高い治療法です。
裂肛の治療
保存的治療
薬物治療
注入軟膏などの外用薬と併せて、肛門の血流を改善する内服薬や、便を柔らかくする緩下剤なども用いて治療を行っていきます。
裂肛の保存的治療は、便通をよくして肛門への負担を減らすことが大切です。
また入浴は、肛門の血流を改善させて、痛みや出血といった症状を和らげる効果があります。
手術療法
注入軟膏や坐薬による保存的治療を行なっても、痛みや出血の改善がみられない場合や、肛門が狭くなってしまった場合には、手術による治療が必要です。
裂肛切除・創形成術
裂肛が繰り返されることで硬くなった肛門上皮の一部を切除し、創の形成を行います。
硬くなった組織を切除することで肛門の柔軟性、伸縮性が回復します。
内肛門括約筋側方切開術
肛門を閉める働きをしている内肛門括約筋の硬化により、肛門が硬く、広がりにくくなっている場合に行います。
硬くなった内肛門括約筋の一部を切開することで、肛門の伸縮性が改善し、肛門が広がるようになります。
これによって便がもれるようなことはありません。
皮膚弁移動術(Sliding -Skin-Graft法)
内肛門括約筋だけでなく、肛門上皮部も狭くなっている場合に行います。
裂肛部分の硬くなった肛門上皮を切除し、内肛門括約筋を切開したのちに、その外側の皮膚を肛門の中まで移動させるように形成します。
肛門周囲膿瘍の治療
肛門指診、肛門超音波検査等によって、肛門周囲膿瘍と診断された場合は、速やかに切開排膿処置を行います。
膿瘍が形成された位置が浅い場合は、外来で局所麻酔を行い切開します。
深い位置に膿瘍を形成している場合には、入院の上、手術室で腰椎麻酔下に切開します。
入院日数は2泊3日となります。
痔瘻の治療
痔瘻は手術をしないと治りません。
当院では痔瘻の位置、広がりや深さに応じて最適な手術を行っています。
切開開放術(lay open法)
痔瘻の標準的な手術で、非常に治癒率が高い術式です。
肛門内のばい菌の入り口(一次口)から、肛門外の膿の出口(二次口)まで、痔瘻の瘻管を完全に切開していきます。
治癒するまでには2か月ほどかかります。
肛門括約筋温存手術
肛門の横方向や前方向にある痔瘻に行います。
痔瘻の瘻管を肛門括約筋の外側までくり抜いていきますが、肛門括約筋は切らず、その中を通る瘻管を切り離し肛門内との交通を遮断します。
肛門括約筋は温存されるので、肛門がゆるくなることがなく、変形も少なくなります。
治癒までには2か月ほどかかかります。
切開開放術と比べ、やや再発率が高くなります(約2%)。再発した場合も、追加の処置を行うことで治癒します。
シートン法
肛門括約筋に対するダメージを少なくする術式です。
瘻管に紐ゴムを通し、外来で徐々にゴムを締めてゆくことで瘻管を切開します。
ゆっくりと瘻管を切開していくため、肛門の機能が維持され、変形も少なく済みます。
治癒までにはある程度時間を要し、およそ2~3か月ほどかかります。
複雑痔瘻(深部痔瘻)の治療
肛門の深い部位に進展する痔瘻に対しても、それぞれの病状に合わせて、肛門括約筋温存手術といった肛門機能を損なわない低侵襲な手術を積極的に行っています。