大腸がん
大腸癌はどうやってできてくるの?

大腸癌の多くは大腸ポリープから発生します。特に「腺腫性ポリープ」と呼ばれる良性の腫瘍が、時間の経過とともにがん化することがあります。この過程は「腺腫–癌系列」と呼ばれ、正常な大腸の粘膜が腺腫(良性ポリープ)となり、そこから徐々に異型性(細胞の異常)が強くなって、最終的に悪性の大腸癌に進展すると考えられています。この変化には数年から10年以上かかるため、定期的な内視鏡検査によってポリープを早期に発見・切除することで、大腸癌の予防が可能です。ただし、すべてのポリープががんになるわけではなく、過形成ポリープや炎症性ポリープなどは通常、発がんリスクが低いとされています。
大腸癌の種類について
大腸ポリープにはいくつかの種類があり、それぞれにがん化のリスクが異なります。特に「腺腫性ポリープ」はがん化の可能性があるため注意が必要ですが、「過形成性ポリープ」や「炎症性ポリープ」は基本的に良性で、がんになるリスクはほとんどありません。また、近年注目されている「鋸歯状ポリープ(特にSSA/P)」は、一部ががん化することがあるため、専門的な判断と経過観察が必要です。つまり、大腸ポリープのすべてががんに進行するわけではなく、種類や大きさ、形、組織学的特徴によってリスクが異なります。そのため、ポリープが見つかった場合は、医師による適切な評価と必要に応じた切除が重要です。
大腸腺腫やSSA/Pは、将来的に大腸癌へ進行する可能性があるため、原則として切除したほうが良いとされています。特に、腺腫の大きさが大きい場合や、細胞の異型性が強い場合は、がん化のリスクが高まるため、内視鏡での切除が推奨されます。内視鏡で安全に切除できる段階で治療することで、大腸癌の予防につながります。
また炎症性ポリープなども大きい場合は出血が続き、貧血をきたす場合があります。そのような場合にも内視鏡で切除し治療します。
大腸癌になると内視鏡では治療できないの?
大腸癌になった場合でも、がんの進行度によっては内視鏡での切除が可能です。具体的には、がんが粘膜内や粘膜下層の浅い部分にとどまっており、リンパ節転移の可能性が極めて低いと判断される場合に限り、内視鏡的切除が行われます。しかし、がんが筋層に達している、あるいはそれ以上に深く浸潤している場合は、内視鏡では対応できず、通常は外科的手術が必要になります。そのため、早期に発見し、内視鏡で切除できる段階で治療することが非常に重要です。