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大腸ポリープ

大腸ポリープとは

大腸ポリープとは、大腸(結腸や直腸)の内壁の粘膜にできる、”隆起性の病変(できもの)”の総称であり、良性のものから将来的にがん化する可能性のあるものまで多様なタイプがあります。多くの大腸がんは、こうしたポリープが時間をかけてがん化する「ポリープ-がん連続説」に基づいて発生するとされており、ポリープの早期発見と切除が大腸がん予防の上で極めて重要です。

大腸ポリープの原因

大腸ポリープの原因は完全には解明されていませんが、生活習慣、遺伝的要因、加齢、腸内環境の変化などが複雑に関与しています。

家族性大腸腺腫症(FAP)や遺伝性非ポリポーシス大腸がん(リンチ症候群)といった遺伝性疾患では、多発するポリープが若年からも発生しやすくなります。
以下に、発症リスクを高める要因を解説しております。

生活習慣(食事・たばこ・お酒・体重)

赤身肉や加工肉が多い、野菜・食物繊維が少ない、運動不足、肥満、喫煙や多量飲酒は、ポリープや大腸がんのリスクを上げます。野菜・果物・魚を増やし、禁煙・節酒、適正体重の維持が予防に役立ちます。

加齢と腸のコンディション

年齢とともに発生しやすくなります。便秘が続く、腸内細菌のバランスが乱れるなども影響します。

体質・家族歴

親や兄妹に大腸ポリープ・大腸がんがある方は、食生活や生活習慣が似通っているため、一般より大腸ポリープは発生しやすいため、そのような方が周りにいる場合は早めの内視鏡検査が勧められます。

持病やお薬の影響

長く炎症が続く病気(潰瘍性大腸炎など)があると、ポリープやがんのリスクが上がります。内服中のお薬によっては、検査の間隔や注意点が変わりますのでご相談ください。

大腸ポリープの大きさ

ポリープは大きくなるほど、将来がんにつながる可能性が高まります。形(茎がある・平ら)や性質(病理)からも合わせて判断します。一般的に腺腫というタイプのポリープは10mmを超えると20%に癌成分が混じります。20mmを超えてくると40%と約半数ががん化してきます。

5mm未満

小さく、危険性は低いことが多い段階です。多くは内視鏡でその場で安全に切り取れます。

5mm~10mm

将来大きくなったり、性質が変わる可能性が出てきます。内視鏡で確実に切り取り、顕微鏡で性質を確認します。

10~20mm

がんの成分を含む割合が上がります。分割せず一度に取り切れる方法を選び、しっかり検査します。

20~30mm

広く平らに広がるタイプも増え、注意が必要です。一括で取り切る専門的な内視鏡手技を検討します。特に平たいタイプはESD(内視鏡的粘膜下層剥離術)と呼ばれる『剥ぎ取る』手技が必要となります。これは認定を受けている大学病院や総合病院でしか施行できず、治療成績にも病院間で差があります。

30mm以上

早期がんが混じる可能性が高くなります。内視鏡で取り切れるかを慎重に見極め、深く入り込む疑いがあれば外科的手術(全身麻酔)が必要になることがあります。

大腸ポリープの症状・初期症状

多くの大腸ポリープは無症状で、健康診断や大腸内視鏡検査で偶然見つかることがほとんどです。しかし、ポリープが大きくなると以下のような症状が現れる場合もあります。

  • 便に血が混じる(血便、潜血)
  • 下痢または便秘などの便通異常
  • 腹痛や腹部不快感
  • 粘液便
  • 体重減少(まれ)

ただし、これらの症状は他の大腸疾患(がん、炎症性腸疾患など)とも共通しているため、確定診断には内視鏡検査が必要です。

大腸ポリープの分類

大腸ポリープは、組織学的特徴に基づいて主に以下のように分類されます。

腺腫性ポリープ(腺腫)

もっとも一般的で、がん化のリスクがある前がん病変。

  • 管状腺腫(低リスク)
  • 絨毛腺腫(高リスク)
  • 管状絨毛腺腫(中間)

鋸歯状ポリープ(SSP・TSA)

かつては良性と考えられていましたが、特に”SSP(鋸歯状腺腫)”はがん化リスクがあるとされ、近年注目されています。

過形成ポリープ

一般的にがん化しないと考えられる良性ポリープ。ただし、大腸全体に多数ある場合は注意が必要。

炎症性ポリープ・若年性ポリープ

炎症性腸疾患や小児に見られるもので、ほとんどが良性。

大腸ポリープの検査方法

検査は「見つける→性質を見極める→安全に切り取る」を一連で行います。前の日から腸をきれいにするお薬を飲んで準備し、当日は鎮静を使って楽に受けられます。

便潜血検査(FIT)

便に混じった少量の血を調べる検診です。陽性なら必ず大腸内視鏡で確認します。

大腸内視鏡(拡大観察・特殊光)

カメラで大腸の内側を直接見て、その場で小さなポリープを切り取れます。拡大や特殊な光で表面の模様を詳しく観察し、深さや性質を推測します。

CTによる大腸検査(大腸CT)

内視鏡が難しい方の代わりに、CTで大腸の立体画像を作って異常の有無を調べます。異常があれば最終的には内視鏡で確認・切除します。

病理検査(顕微鏡での詳しい検査)

切り取ったポリープを顕微鏡で調べ、良性か、がんの手前か、取り切れているかなどを確かめます。結果に合わせて次の検査時期を決めます。

前処置と鎮静の流れ・安全性

検査前に下剤で腸をきれいにします。鎮静を使うことで、眠っている間に検査が終わるイメージです。検査後は少し休んでから帰宅できます(当日の車の運転は控えます)。

大腸ポリープの治療方法

大腸ポリープの治療は主に内視鏡的切除で行われます。ポリープの種類や大きさ、形状、がん化の可能性に応じて治療方針が決定されます。

内視鏡的ポリープ切除術(ポリペクトミー)

小さなポリープはスネア(輪っか状の器具)を用いて切除。外来で可能な処置です。

内視鏡的粘膜切除術(EMR)

やや大きなポリープや平坦な病変に対して、粘膜下に液体を注入して持ち上げた上で切除する方法。

内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

さらに大きく、がんの疑いがある病変に対して行われる高度な手技。

外科的切除

ポリープが非常に大きい場合や、がん化が強く疑われる場合には、腸管ごと切除する手術が検討されます。

大腸ポリープの予防とフォローアップ

大腸ポリープの発生や再発を予防するには、バランスの良い食生活(野菜・食物繊維の摂取)や禁煙、節度ある飲酒、適度な運動が推奨されます。ポリープを切除した場合、再発や新たなポリープの発生を防ぐために、”定期的な大腸内視鏡検査(1〜3年ごと)”が必要です。
大腸ポリープは初期に自覚症状がほとんどなく、放置するとがん化するリスクがあるため、早期発見・早期切除が非常に重要です。定期的な内視鏡検査と生活習慣の見直しが、大腸がん予防の第一歩となります。

大腸ポリープの切除後

切除後1週間は「無理をしない・出血を起こさない」が基本です。大きく切り取った場合は、個別の指示を優先してください。

切除後の食事

当日はおかゆ・うどんなど消化の良いものを少しずつ。辛い物・アルコール・硬い食材・海藻やナッツなどは数日控えます。数日かけて普段の食事に戻します。

運動

当日〜翌日は安静に。散歩など軽い運動は1〜2日後から、走る・筋トレ・重い物を持つなど強い運動は1〜2週間控えます。

入浴

当日はシャワーのみ。湯船は翌日以降に短時間から再開します。大きな切除の後は数日控えることがあります。

仕事

机での作業は翌日から可能なことが多いです。力仕事や長距離移動は2〜7日程度休むのが安全です。仕事内容に合わせてご相談ください。

内服薬(血をさらさらにする薬)の再開

再開時期は出血と血栓のリスクのバランスで決めます。自己判断で中止・再開せず、指示通りに行ってください。

出血や腸に穴があく合併症のサイン

赤い血が続く、黒い便、強いお腹の痛みや発熱、めまい・ふらつきがあるときは、時間外でもすぐにご連絡ください。遅れて出血することがあり、特に1週間前後は注意が必要です。

排便のコントロール

固い便は出血の原因になります。水分をしっかりとり、食物繊維は少しずつ増やします。必要なら整腸薬や便を柔らかくする薬を一時的に使います。下痢が続く場合はご相談ください。

旅行・お酒・長距離移動

切除後1週間ほどは、長距離移動や旅行は控えめに。出血時にすぐ受診できる体制を優先します。アルコールは数日間控えてください。

まとめ

大腸ポリープは、症状がなくてもできていることが少なくありません。早めに見つけて内視鏡で切り取れば、大腸がんの予防につながります。当院(足立区・西新井大腸肛門科)は、検査の苦痛を極力減らし、楽に受けられる内視鏡と日帰り切除を積極的に行なっています。顕微鏡の結果に基づく定期的なフォローまで一貫して対応します。特殊な手技が必要な大きなポリープの場合は、高次医療機関と連携して最適な治療へおつなぎし、その前後のフォローも継続します。検診の便潜血が陽性、初期症状に心当たりがある方は、どうぞお早めにご相談ください。

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診療内容
肛門科、消化器科、大腸内視鏡、胃内視鏡、おしりの手術(日帰り/入院)、大腸ポリープ切除(日帰り/入院)、各種検診・健診
院長
久保田 至
住所
〒121-0815
東京都足立区島根3-7-13
最寄駅
東武スカイツリーライン
「西新井駅」東口徒歩3分
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13台
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消化器内視鏡指導施設
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